墓石の色の種類と意味は? おすすめの色や選びかたもご紹介します

お墓の建立を考えるとき、お墓のデザインなどとともに選ぶ要素になるのが墓石の色です。墓石の色の種類はどんなものがあり、またどんな意味があるのでしょうか。今回は墓石の色の種類と意味、おすすめの色や選びかたもあわせてご紹介します。
目次
墓石と文字の色の種類と意味
墓石と文字には、様々な色が使われているのを目にします。
墓石と文字の色の種類にはどんなものがあり、それぞれの色にはどんな意味があるのでしょうか。
ここでは、墓石の色の種類と意味、墓石に彫刻する文字の色の種類と意味についてみていきましょう。
墓石本体の色
墓石本体の色の種類は、黒色・灰色・白色などの昔から用いられてきた色から、赤色・青色・緑色・茶色など最近人気の特徴的な色まで様々です。
以下では、それぞれの色の意味と有名な石材の種類についてご紹介していきます。
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黒色
黒色の墓石で有名なのは、スウェーデン産の最高級小目御影石である「ファイングレー」で、根強い人気があります。
昔は黒色の墓石は熱がこもりやすく、安らかに眠ることができないのでよくないといわれていましたが、仏教の五色(ごしき)では極楽浄土に必要な色とされています。
仏教の五色では黒色は仏陀の袈裟の色で、様々な怒りを抑えて耐え忍ぶ忍辱を表しています。 -
灰色
灰色の墓石は落ち着いた風情があり、昔から変わらず人気があります。
石材の中でも最も古い歴史を持つ「小松石(こまついし)」が有名です。
灰色の墓石は汚れが傷が目立ちにくいのも人気の理由です。
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白色
白色の墓石は昔から縁起がよいとされ、広い地域で使用されてきました。
白色の墓石で有名なのが「庵治石(あじいし)」で、日本産御影石の最高峰とされています。
仏教の五色で白色は、仏陀の歯の色で悪業や煩悩を浄める清浄を表現しています。
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赤色
赤色の墓石では、「インド赤」とも呼ばれる「ニューインペリアル」という赤御影石が有名です。
赤色の墓石は昔は血や炎を連想させるのでよくないといわれてきました。
しかし最近では、その風習も変わりつつあります。
仏教の五色では赤色は仏陀の血液の色で、あらゆる人を救済して慈悲心がたえまない精進を表しています。
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青色
青色の墓石では、福島県で採石される「吹雪石(ふぶきいし)」が有名です。
青色の墓石は特に関西で人気があり、デザイン墓石にもよく使用されます。
仏教の五色では青色は仏陀の頭髪の色で、心を落ち着かせた状態の禅定を表しています。
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緑色
緑色の墓石では、中国の最高級の緑色の石である「万年青(まんねんあお)」が有名です。
仏教の五色で緑色は、青色同様に仏陀の頭髪の色で、心を落ち着かせた状態の禅定を表しています。
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茶色
茶色の墓石では、グレーの地にかすかに茶色がかった石目が美しい、インド産の「ロイヤルブラウン」が有名です。
茶色の墓石は、洋型墓石としてよく使用されます。
茶色の墓石は温かみがあり、派手すぎず落ち着いた親しみのある色として人気があります。
墓石に彫刻する文字の色
墓石に彫刻する文字の色は、一般的には五色が用いられます。
五色とは仏教においてお釈迦様の体や教えを象徴するもので、「白」「黒(紫)」「赤」「青(緑)」「黄」の5つです。
また、五色の5つの色以外にも九州地方に多いとされる金色の文字色もあります。
墓石に彫刻する文字の色の種類とそれぞれの意味について解説していきます。
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白色
白色は仏教の五色において、仏陀の歯の色とされています。
悪業や煩悩を浄める清浄を表します。
墓石に彫刻する文字の色としては人気の色です。
白色の文字は、関西地方のお墓によく見られます。
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黒色(紫色)
黒色は仏教の五色において、仏陀の袈裟の色です。
様々な怒りを抑えて、耐え忍ぶ忍辱を表します。
墓石が黒色の場合色が映えにくいためあまり使われません。 -
黄色
黄色は仏教の五色において、仏陀の体の色です。
確固とした揺るぎない金剛を表します。 -
赤色
赤色は仏教の五色において、仏陀の血液の色です。
人々を救い、慈悲の心がたえまない精進を表します。
赤色の文字、は生前にお墓を用意するときに戒名につける色とされる傾向があります。
そのため、墓石の戒名が赤い文字ならばまだ生きている人のお墓になります。
赤い文字は実際に亡くなると色が落とされます。
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青色
青色(緑色)は仏教の五色において、仏陀の頭髪の色です。
心を落ち着かせた状態の禅定を表します。
青色は人相のように、お墓の色・形・位置を意識して建てられる墓相墓で使われることが多い色といわれています。
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金色
金色は、九州地方のお墓でよくみられる文字色です。
神々しく、上品なお墓に仕上がるため人気の色となっています。
黒色の墓石によく映えるため、黒御影石の墓石に金色の文字の組み合わせが人気です。
墓石の色の選びかた
ここまで墓石本体の色と、墓石に彫刻する文字の色の種類とそれぞれの意味を確認してきました。
では、実際どのようにして墓石の色を選べばよいのでしょうか。
ここでは、墓石の色の選びかたをご紹介していきます。
墓石の色はどうやって選べばよいのか
墓石の色を選ぶ際の注意点としては、完成イメージを基にすること・石種の特徴を確認すること・迷信や縁起を気にしすぎないこと・墓石の種類に応じて選ぶことの4点が挙げられます。
以下で詳しく見ていきましょう。
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完成イメージを基にする
墓石の色を選ぶときはしっかりとした完成イメージを基にして選ぶようにします。
石材店に完成イメージをしっかりと伝え、カタログなどでもきちんと確認して色を選ぶようにしましょう。
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石種の特徴を確認する
墓石の色を選ぶときには、石種の特徴をしっかりと確認するようにします。
石種によっては値段が高かったり、耐久性に優れないものもあります。
石材の特徴も考慮して墓石の色を選ぶようにしましょう。
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迷信・縁起を気にしすぎない
墓石の色選びでは、昔は黒色や赤色など縁起が悪い色が避けられてきました。
しかし最近では、迷信や縁起を気にしない風潮になってきています。
迷信や縁起を気にしすぎず、お墓のイメージに合った色選びをしましょう。
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墓石の種類に応じて選ぶ
墓石には和型墓石・洋型墓石・デザイン型墓石があります。
それぞれの墓石の種類に応じた色選びをするようにしましょう。
おすすめの墓石の色
ここでは、おすすめの墓石の色をご紹介していきます。
お墓は主に、和型墓石・洋型墓石・デザイン型墓石の3種類に分けられます。
それぞれのお墓に合ったおすすめの墓石の色をご紹介します。
和型墓石の場合
和型墓石は、昔からある伝統的な四角いお墓です。
現在でも日本で最も多いのがこの和型墓石です。
地域によって形状や大きさに特徴があり、種類も多くあります。
和型墓石は墓石が3段・4段に積み重なり、メインとなる石塔が中央に縦長に立てられているのが特徴です。
和型墓石の色のおすすめは、高級感・シャープな質感で人気の黒色・落ち着きのある風情が感じられる灰色・明るく清潔感のある白色です。
洋型墓石の場合
洋型墓石は背が低く、横に長いのが特徴のお墓です。
モダンな見た目で、お墓としての格調も高いといわれています。
日本ではガーデニング霊園や西洋風霊園が増えてきたことに伴い、洋型墓石が多く見られるようになりました。
墓石に刻む文字は、一般的には家名を刻みます。
しかし、最近では洋型墓石では「ありがとう」や「絆」など文字やイラストなどを刻む傾向が増えてきています。
墓石の色は和型墓石と同じく、メジャーな黒色・白色・灰色がおすすめです。
最近では、赤色や青色など好みやデザインによって様々な色の墓石が使われています。
デザイン型墓石の場合
デザイン型墓石は、和型墓石や洋型墓石の概念に囚われない自由で個性を活かしたモニュメントのような墓石です。
故人の趣味や嗜好品などを基にしたデザイン型墓石などもあります。
デザイン型墓石では、自由な発想で個性のある墓石にするために、赤色や青色など特徴的な色を使用する傾向にあります。
墓石のデザインに合う色や故人の好きだった色など、個性を活かした墓石の色がおすすめです。
色ごとの値段の違い
ここまで墓石の色の種類や意味、選びかたなどをご紹介してきました。
お墓の色を選ぶ上でで気になるのが、墓石の色ごとの値段の違いがあるのかということです。
結論から申し上げますと、墓石の色ごとの値段の違いは基本的にはありません。
ただ墓石の石種によって希少価値があるものや、特徴的な色を選ぶ場合は値段が高くなることがあります。
色は地域によって違いがあるのか
墓石の色には様々な種類がありますが、地域によって違いがあるのでしょうか。
墓石の色は関東・東北圏では黒色、関西圏では白色を好む傾向があります。
これはお墓に使われる石材はその地域で多く採られるものを使用する傾向にあるからです。
昔から関東・東北圏では黒色の石材である黒御影石が、関西圏など西日本では白色の石材である白御影石が多く産出されたため、このような地域によっての違いが生まれました。
まとめ
本記事の内容をまとめると、以下の通りです。
- 墓石本体の色には縁起や仏教の五色を表しそれぞれの意味がある
- 墓石に彫刻する文字の色は仏教の五色を表しそれぞれの意味がある
- 墓石の色は迷信や縁起に囚われず、完成デザインや墓石の種類、石種の特徴を考慮して選ぶ
- 墓石の色ごとに値段の違いはないが、石種や特徴的な色では高くなる場合がある
- 墓石の色は関東・東北圏では黒色、関西圏では白色を好む傾向があり、地域によって違いがある
墓石の色の種類は様々で、それぞれに意味があります。
しかし、お墓選びのときはあまり墓石の色の意味に固執しすぎないようにして選ぶことをおすすめします。