エンディングノートと遺言書の違いは? それぞれの特徴や役割を解説します

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エンディングノートと遺言書の違いは?  それぞれの特徴や役割を解説します

エンディングノートと遺言書。共にご家族に対してご自身の遺志を残すために重要となるアイテムですが、この二つには明確な違いがあります。どのような場合にどちらが有効となるのでしょうか。本記事ではエンディングノートと遺言書を比較しながら、その違いについて解説していきます。

それぞれが持つ特徴について

まず最初に、エンディングノートと遺言書それぞれの持つ特徴についてみていきましょう。

終活という言葉が社会的に広く認知されるようになる以前、故人の遺志を書き残す手段としては遺言書が一般的なものでした。

しかし、遺言書を書き残すという行為にはどこか硬いイメージがあり、なかなか思いついたらすぐにという気安さはありません。

これに対し、エンディングノートには作ろうと思ったその日から始められるという受け入れ安さや、どなたにでも作れるという間口の広さがあります。

このような違いが出ている背景には、それぞれが持つ特徴の違いが関係しています。

終活を行う上で知っておいていただききたい、それぞれの特徴をご説明していきましょう。

エンディングノートの特徴

エンディングノートの特徴としては、次のような点が挙げられます。

  • 沢山の種類の中から自分の好みでエンディングノートを作ることができる
  • 決まりがなく好きなように書いてよい
  • 費用があまりかからない

エンディングノートは、ご自身のお気持ちや思い出・死後の事務手続きなどについての希望を書き残し、残されるご家族の負担を軽減するという役割を持っています。

実際にエンディングノートを受け取られたご家族の中には、亡くなられた方の心が詰まった宝物として大切に保管されている方も少なくありません。

エンディングノートに書く内容は自由なため、内容について悩まれる方は専用のエンディングノートを購入することをオススメします。

しかし、基本的にはお手元にある紙やノート・パソコンの文書作成などを利用して書くことが可能なので、費用はそれほどかかりません

遺言書の特徴

遺言書の特徴としては、次のような点が挙げられます。

  • 遺言書を書く場合には法律に従った方法で書かなければならない
  • 内容は主に遺産相続について
  • 遺言書として認められるためには費用がかかる

遺言書の最大の目的は、財産に関することについてご遺族に対しはっきりとした遺志を残すことにあります。

そのため、その遺志をより確実なものにするためには法律に従った内容で遺言書を作る必要があり、詳細な部分まで決まりがあるのが特徴です。

さらに遺言書と正式に認められるためには、公証役場の公証人や家庭裁判所の判断が必要となり、相続対象となる金額によっては高額な費用がかかることもあります。

残されたご家族のご負担を減らすためという点では、エンディングノートと変わらないことから混同されやすい遺言書ですが、その特徴を理解しておかないと用意した遺言書が無効となるので注意が必要です。

効力の違いは?

残されたご家族の負担を減らす、という点においては同じと考えられているエンディングノートと遺言書ですが、実はその効力には大きな違いがあります。

それぞれの効力について理解を深めておくと、終活においてご自身が一番よいと思える方法を選ぶ上での手助けにもなります。

ここでは、それぞれの持つ効力の違いについてご説明していきます。

エンディングノートの効力

エンディングノートを用意することで、次のような効力を得ることができます。

  • ご自身の思い出を記すことで気持ちが前向きになる
  • 残されたご家族のお気持ちを癒す
  • 遺産整理や事務手続きがスムーズに行える
  • 意思疎通が困難になったときに備えて、終末期の医療や死後の希望を書き残せる

残されたご家族にとって、大切な人を亡くした悲しみを癒す間も無く、多くの手続きを行うことは大変な負担となります。

ご遺族の中には、無理をして動いたために心身ともに疲れ果て体調を崩される方も少なくありません。

また、亡くなる前であってもご本人の意思確認が取れないことから、延命治療の有無や臓器提供についての判断をしなければならない場合、ご家族の間で意見が分かれることもあります。

法的な効力こそ持たないものの、このようなときに効果を発揮するのがエンディングノートです。

エンディングノートにご自身の考えや各種手続きの処理について記載がされていると、ご家族での話し合いもスムーズにまとまることが多く、その分負担が軽減されます。

もし可能であれば、エンディングノートにはっきりと記載される前にご家族に確認を取るようにし、もしものときにより効果的にエンディングノートを活用できるように準備しておくとよいでしょう。

遺言書の効力

続いて遺言書の効力についてご紹介します。

遺言書がその効力を最大に発揮するのは法的効力を必要とする場合です。

遺言書は法律で定められていることから、万が一親族間で争うことがあっても法律で認められた遺言書の内容に従い、その場を収めることができます。

特に遺産相続に関する項目については、遺言書を残しておくことで親族間の争いごとが無くなることが期待されます。

  • 親族間の争いを法的に処理することができる
  • 会社の引き継ぎや相続をスムーズに行える
  • 法的に守られた遺言書で家族の負担を減らすことができる
  • 万が一のときに弁護士に相談しやすい

遺産を相続するのは、基本的に法定相続人と呼ばれる法律で定められた近親者です。

もし遺言書が残されてない場合には法律に則った配分率で遺産を相続することになりますが、この配分について何か考えるところがある時には、より確実に意志を尊重してもらうために遺言書を残しておく必要があります。

「争族」という言葉を生み出すほど、遺産相続に関する争いは年々増加しておりますので、遺言書の持つ効力を上手に利用してこれらの不安を和らげるようにするとよいでしょう。

形式の違いは?

エンディングノートと遺言書の形式の違いについて、その詳細をご説明していきます。

自由であるがゆえに書きかたに悩まれるエンディングノートと、法的拘束力を気にするあまり書き出すことがためらわれる遺言書。

しかし、どちらもそのポイントさえ押さえておけば無理なく書き記すことができます。

それぞれの形式を理解して、よりご自身のお気持ちにそった形となるように役立ててみましょう。

エンディングノートの形式

エンディングノートにはこれといって決められた形式はありません

ご自分が書き残しておきたいと思う項目について、自由に構成していくことができます。

実際に終活でエンディングノートを作成されている方の例を見てみましょう。

  • 一般的なノートを利用して、必要な項目について書き記す
  • 市販のエンディングノートを利用して、最初から構成されている内容に添って書く
  • パソコンの文書作成機能を利用し、自分で自由に書いて保存
  • エンディングノートのソフトをダウンロードして使用

このような例からも、エンディングノートがとても自由でご自身のお気持ちのままに書くことができるのがわかります。

形式にとらわれず、お好きなノートや筆記用具・パソコン等を準備して気軽に始めてみましょう。

遺言書の形式

続いて遺言書の形式についてです。

遺言書は法的拘束力を持たせる必要性から、民法で定められた条件に従い書かなければなりません。

遺言書の種類は主に下記の3つになります。

  • ●自筆証書遺言 全文が自筆で書かれている遺言書です。丈夫な紙にペンなどの消せない筆記用具で書き、日付の年月日を正確に記載しなければなりません。できれば実印による署名捺印が望ましく、封書に入れて封をします。
  • ●公正証書遺言 各市町村の公証役場に出向き、公証人に遺言書を作成してもらいます。その際には必ず二人以上の証人が必要です。公正証書遺言はワープロ文字や他人の筆跡で書かれてあっても問題はありません。
  • ●秘密証書遺言 自筆証書遺言を公証役場に持っていき、公証人に正式な遺言書として認めてもらったものです。書いた形式は自筆証書遺言と変わりません。

これらの遺言書に共通している形式は、次のような点です。

  • ○月吉日というような日付の書き方をしてはいけない
  • 誰が読んでもわかりやすい文章で書かなければならない
  • 「財産の半分」「土地のほとんど」という表記ではなく、具体的な金額や土地の住所などを詳細に記載しなければならない

日本語の文章は、はっきりとした表現よりも曖昧で奥ゆかしいほうが好まれる傾向にありますが、遺言書においては、法的判断がつきやすい文章でないと遺言書を残した目的が果たされないこともあります。

誰に・何を・どんなふうにしたいのか、これを明確にするよう意識しながら書くことが重要です。

エンディングノートと遺言書の内容の違い

エンディングノートと遺言書では、内容的にどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの内容についての目安がわかっていると、実際に書くときに項目を構成しやすく、よりご自身の望まれる形で書き記すことができます。

エンディングノートと遺言書の内容の違いについて、具体的な例を挙げながらご説明します。

エンディングノートの内容

エンディングノートには、ご自身の思い出やお気持ち、現在お持ちの財産やご家族に対してのご要望などが記されます。

エンディングノートの主な内容としては以下のようなものです。

  • ご自身の歴史や友人関係、思い出などの情報
  • ご自身の介護や医療についての情報
  • ご家族に対する感謝の気持ち
  • デジタルデータに関する情報
  • 現在の資産状況や相続に関する希望
  • ご葬儀やご供養に関する要望
  • 遺言書の有無

特に注目していただきたいのは、エンディングノートにも遺産や遺言書に関する内容を書くことができるという点です。

すでにご説明した通り、エンディングノートに詳しい遺産情報やその相続について書かれてあっても、法的拘束力はないためご希望通りにならなかったり争いが起こる可能性があります。

端的にいうと、エンディングノートに記すのは、ご自身の素直な気持ちです。

終末期に向けてどのような気持ちでいらしたのか、それをご家族に伝えることが一番の目的となりますので、身構えず自由に書きたいことを書いていきましょう。

遺言書の内容

法的拘束力を持つ遺言書には、主に相続やその他の法的問題を解決するための内容を書いていきます。

具体的な例としては以下のようなものです。

  • 相続対象となる遺産の具体的な内容
  • 相続人の指定と遺産の分けかたや配分率
  • 法定相続人以外の人に遺産を贈与(遺贈)するという内容
  • 配偶者以外の人との間に生まれた非嫡出子の存在について
  • お墓の承継者となることを条件とした相続について
  • 遺言執行人の指定

エンディングノートと比べて、内容がより相続関係に特化しており具体的な問題解決方法となっていますね。

遺言書はある意味、残されたご家族に争って欲しくないという故人のお気持ちを強く表現しているものとも言えます。

そのお気持ちを伝えるためにも、弁護士や司法書士といった専門家の方を遺言執行人に指定し、確実に遺言を守ってもらえるよう準備する方も少なくありません。

遺言書があるだけで問題が解決することもありますので、相続に関して気になる点がある方は特にしっかりと準備を行いましょう。

費用の違い

エンディングノートと遺言書の費用にはどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれが必要なものだけに、その費用について参考となる目安が知りたいと思う方も多いことと思います。

ここでは、エンディングノートと遺言書の費用の違いについてご説明していきます。

エンディングノートの費用

エンディングノートはかかる費用は特に決まっていません

例えば、今お手持ちのノートに書き残しておきたい内容を記せば勿論それもエンディングノートとなりますし、特注で世界に一冊だけのノートを作ってエンディングノートとする方もいらっしゃいます。

一番多いのは、最初から「エンディングノート」として市販されているものを購入する方法です。

あらかじめ項目別に分かれており、遺影となる写真も一緒に保管したり、写真のデータが入ったCDを保存するケースが付いているものもあります。

市販されているものであれば約1千円〜2千円前後というお手頃なものが多いので、好みに合わせてお気に入りのノートを探してみましょう。

遺言書の費用

遺言書を用意する場合、以下のようなときに費用がかかってきます。

  • ●公正証書遺言を作成する場合 相続対象となる総資産額と相続人の人数でその費用が変わってきます。例えば、総額2千万円を一人で相続する場合には、2万3千円×1+手数料1万1千円=3万3千円、三人で相続する場合には2万3千円×3+手数料1万1千円=8万円という具合です。
  • ●秘密証書遺言を作成する場合 相続する資産や相続人数に関係なく、一律1万1千円の手数料がかかります。

どちらも公証役場にて手続きをすることで費用がかかり、最低でも1万1千円が必要となります。

さらに、秘密証書遺言の場合は手数料をかけて用意しても、内容を事前に公証人に確認してもらえないことから遺言書として無効となることもあります。

遺言書作成を専門家へお願いする方法もありますが、その場合、依頼する業種や会社によって大きく異なります。

依頼する場合にはよく相談・確認の上、検討してみるようにしましょう。

まとめ

今回は、エンディングノートと遺言書の違いについて解説してきました。

改めて内容を振り返り、まとめてみたいと思います。

  • エンディングノートと遺言書にはそれぞれ特徴があり、それによって作成する目的も違ってくる
  • エンディングノートには法的拘束力がないので、特に相続に関係する項目は遺言書を作成しておく必要がある
  • エンディングノートは思いを自由に綴ることができるが、遺言書の場合、誰が読んでもわかりやすい文章で、日付や金額などの数字をはっきり書く必要がある
  • 遺言書は形式や法的な決まりがあるので、作成する上で悩むときには専門家に相談することも視野に入れる

エンディングノートと遺言書は、どちらも終活をする上で欠かすことができないものです。

両方、残されたご家族に対してご自身の思いや遺志を伝えるための大切な手段ですが、その違いがわかっていないと、後にご家族の間で悩まれたり争いになったりすることもあります。

それぞれの特徴に合わせて上手に使い分けながら、ご自身に合った方法で進めてみましょう。

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